2021年08月24日
オオサンショウモ
オオサンショウモ(大山椒藻)Salvinia molesta
<肩書>
・ 生態系被害防止外来種リスト「重点対策外来種」
サンショウモ科サンショウモ属
(屋久島町椨川2017.6.16.)
アクアリウムなどで人気が高く、園芸店やホームセンターでも販売されているのでご存じの方が多いかもしれません。「サルビニア」や「めだかの水草」という名前でも流通しています。
寒さに弱いという点だけ注意すれば、ほったらかしでも結構簡単に育ち、水中の栄養を吸収して富栄養化を防いでくれて、めだかの産卵床や隠れ家にもなります。また葉も容姿も立体的で芸術的なので、観賞用としても楽しめます。
アメリカ熱帯地域(中南米)原産。日本へは1950年代に観賞用や水質実験用に導入されました。アンモニアや水中の余分な栄養分や重金属を吸収する特性から、湖沼の水質浄化で利用する実験が数多くされています。取り扱いがとても簡単ですが、3日で倍にもなるほどの脅威の成長速度で、大量に繁茂した挙句に枯死して、逆に富栄養化を発生するなんてことも。また、オオサンショウモを利用した水田雑草の制御の試みもありますが、亜熱帯から熱帯地域では制御どころか水田雑草になってしまい、繁茂するとイネの収穫量が50%以上減ってしまう事例もあるようです。水中の酸素要求量が大きいので、水田だけでなく養魚場の害草にもなり得ます。オーストラリアやアフリカではすでに在来水生植物を脅かす存在になっているそうです。
サンショウモ属は世界に10種あり、日本にも1種、在来の「サンショウモ」が生育しています。こちらは絶滅危惧種で、オオサンショウモとの競合・駆逐、遺伝的攪乱が心配されます。
幼生のうちは区別が難しいですが、在来のサンショウモは大きくなっても葉の長さ1.5㎝程度で、葉が立ち上がって立体的になることはなく、成長しても平たく、木本の「サンショウ」の葉のつき方に似ています。
兵庫県、愛知県ではだいぶ前から野生化が報告されています。沖縄県では1970年代に確認。さらに和歌山県南部では園芸品種の逸脱が越冬し、大繁殖した記録もあります。山形や宮城、新潟、滋賀でも確認報告があります。
水草として広く普及・販売しているので、今後も分布の拡大が懸念されます。
オーストラリアのアデレード川では、除草剤、網による移動防止、徒歩・ボート・ヘリコプターで調査、手作業の除去、隠れ場所となる河岸植物の焼却など、10年がかりで根絶したそうです。
繁殖力を考えればホテイアオイやボタンウキクサと同等レベルですが、オオサンショウモは日本の冬に耐えられない程度の耐寒性で、本州レベルの冬の温度では基本越冬できないことから、特定外来生物には至らなかったのではないかと思われます。
成熟すると葉は中肋に沿って折られたようになり、立体的に立ち上がります。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
葉の様子。毛のような突起の先は4本に分かれ、さらに先端部が連結して、鳥かごのようになっています。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
繁茂してくると、ギュウギュウ詰めです。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
全体の様子。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
水中葉はまさに根っこ状態。シダ植物なので、胞子嚢もついています。(雑種起源なので胞子は不稔とされています)
(屋久島町椨川2017.6.16.)
<特徴>
・ 中南米原産の浮遊性の水生シダ植物。南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、オーストラリアに分布。
・ 1年~多年草。花は咲かない。湖沼、水路、水田など、日当たりの良い浅い水域に生育する。
・ 耐寒性には弱く、耐暑性は強い
・ 葉は表面に毛のある2枚の浮葉と1枚の水中葉がセットになっている。水中用は細長く伸びて細かく裂け、一見では根にしか見えない。(本物の根はない)その根元に胞子嚢をつけるが、一般的には胞子ではなく栄養繁殖で増える。胞子で越冬可能。
・ 茎は5~10㎝。浮葉は幅1~5㎝で全縁、短い葉柄があって3輪生。若い時は卵形、成熟すると中肋に沿って折れる。表面に短毛のある突起が密生する。この突起は先端が4本に分かれていてその先端が連結していて檻状になっている。水中葉は1㎝程の兵があり、細かく分岐して根のようになる。
<肩書>
・ 生態系被害防止外来種リスト「重点対策外来種」
サンショウモ科サンショウモ属
(屋久島町椨川2017.6.16.)
アクアリウムなどで人気が高く、園芸店やホームセンターでも販売されているのでご存じの方が多いかもしれません。「サルビニア」や「めだかの水草」という名前でも流通しています。
寒さに弱いという点だけ注意すれば、ほったらかしでも結構簡単に育ち、水中の栄養を吸収して富栄養化を防いでくれて、めだかの産卵床や隠れ家にもなります。また葉も容姿も立体的で芸術的なので、観賞用としても楽しめます。
アメリカ熱帯地域(中南米)原産。日本へは1950年代に観賞用や水質実験用に導入されました。アンモニアや水中の余分な栄養分や重金属を吸収する特性から、湖沼の水質浄化で利用する実験が数多くされています。取り扱いがとても簡単ですが、3日で倍にもなるほどの脅威の成長速度で、大量に繁茂した挙句に枯死して、逆に富栄養化を発生するなんてことも。また、オオサンショウモを利用した水田雑草の制御の試みもありますが、亜熱帯から熱帯地域では制御どころか水田雑草になってしまい、繁茂するとイネの収穫量が50%以上減ってしまう事例もあるようです。水中の酸素要求量が大きいので、水田だけでなく養魚場の害草にもなり得ます。オーストラリアやアフリカではすでに在来水生植物を脅かす存在になっているそうです。
サンショウモ属は世界に10種あり、日本にも1種、在来の「サンショウモ」が生育しています。こちらは絶滅危惧種で、オオサンショウモとの競合・駆逐、遺伝的攪乱が心配されます。
幼生のうちは区別が難しいですが、在来のサンショウモは大きくなっても葉の長さ1.5㎝程度で、葉が立ち上がって立体的になることはなく、成長しても平たく、木本の「サンショウ」の葉のつき方に似ています。
兵庫県、愛知県ではだいぶ前から野生化が報告されています。沖縄県では1970年代に確認。さらに和歌山県南部では園芸品種の逸脱が越冬し、大繁殖した記録もあります。山形や宮城、新潟、滋賀でも確認報告があります。
水草として広く普及・販売しているので、今後も分布の拡大が懸念されます。
オーストラリアのアデレード川では、除草剤、網による移動防止、徒歩・ボート・ヘリコプターで調査、手作業の除去、隠れ場所となる河岸植物の焼却など、10年がかりで根絶したそうです。
繁殖力を考えればホテイアオイやボタンウキクサと同等レベルですが、オオサンショウモは日本の冬に耐えられない程度の耐寒性で、本州レベルの冬の温度では基本越冬できないことから、特定外来生物には至らなかったのではないかと思われます。
成熟すると葉は中肋に沿って折られたようになり、立体的に立ち上がります。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
葉の様子。毛のような突起の先は4本に分かれ、さらに先端部が連結して、鳥かごのようになっています。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
繁茂してくると、ギュウギュウ詰めです。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
全体の様子。
(屋久島町椨川2017.6.16.)
水中葉はまさに根っこ状態。シダ植物なので、胞子嚢もついています。(雑種起源なので胞子は不稔とされています)
(屋久島町椨川2017.6.16.)
<特徴>
・ 中南米原産の浮遊性の水生シダ植物。南北アメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、オーストラリアに分布。
・ 1年~多年草。花は咲かない。湖沼、水路、水田など、日当たりの良い浅い水域に生育する。
・ 耐寒性には弱く、耐暑性は強い
・ 葉は表面に毛のある2枚の浮葉と1枚の水中葉がセットになっている。水中用は細長く伸びて細かく裂け、一見では根にしか見えない。(本物の根はない)その根元に胞子嚢をつけるが、一般的には胞子ではなく栄養繁殖で増える。胞子で越冬可能。
・ 茎は5~10㎝。浮葉は幅1~5㎝で全縁、短い葉柄があって3輪生。若い時は卵形、成熟すると中肋に沿って折れる。表面に短毛のある突起が密生する。この突起は先端が4本に分かれていてその先端が連結していて檻状になっている。水中葉は1㎝程の兵があり、細かく分岐して根のようになる。