2023年11月11日
ヨウシュヤマゴボウ
ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)Phytolacca americana L.
ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属
(北海道札幌市北区2021.10.)
名前は知らなくても見たことがある人は多いのではないでしょうか。子供のころ、おままごとで遊んだ思い出があるかも。
公園や庭先、アスファルトの隙間でも樹木のように大きく育つヨウシュヤマゴボウは、割と身近な存在の植物のひとつかと思います。
ヨウシュヤマゴボウの魅力は何と言っても、あのかわいらしい実でしょう。赤い茎の先に小さなブドウのような実。写真を撮ったり絵に描いたり、ちょっと花瓶に飾ったりして楽しむことができます。ドライフラワーにすることもできます。
ブドウさながらの果実はつぶすときれいな赤紫色で、水に溶かすとまるで赤ワイン。かつては小学校の理科で、色水を作るときに使われたこともあったそうです。綿棒や割りばしの先にインクのようにつけて、字を書いたり色を塗ったりすることもできます。もちろん草木染にも使えて、茶~赤紫に染めることができます。ただこの果汁は強い染料なので、衣類や皮膚につくとなかなか落ちません!
しかし!このヨウシュヤマゴボウ、毒草であることは知っておいた方がいいかと思います。まるで食べても大丈夫そうな「ヤマゴボウ」という名前ですが、日本で見られるヤマゴボウ属3種はいずれも有毒なのでご注意を。
時々道の駅などで売られている味噌や醤油などで漬けられた「ヤマゴボウ漬け」はこのヤマゴボウ属ではありません。モリアザミやフジアザミなどのアザミの仲間の根で、地方名で「ヤマゴボウ」と呼ばれています。長野や岐阜の方では食用に栽培もされているようです。
アザミの仲間の根はゴボウのように太くまっすぐ伸びていますが、ヨウシュヤマゴボウの根もゴボウさながら太く立派です。花や実がついた状態なら絶対間違えないと思いますが、シーズンオフで地上部が枯れた後や根だけでの判別は難しいかもしれません。
名前と言い、ゴボウのような根と言い、本当に紛らわしいです。日本に限らず中毒事故が起こっていますので、くれぐれもお気を付けください
中国原産のヤマゴボウ属の「ヤマゴボウ」の根が漢方の「商陸」として使われることがありますが、これは毒草として有名なトリカブトが「附子」という漢方として使われるのと同じ。用法用量を間違えると命にかかわります。
全草有毒のヨウシュヤマゴボウですが、熟した実は小鳥たちが食べています。これは果実の部分にはあまり有毒成分が含まれていないためで、鳥に実を食べてもらうことで種子散布しているのです。ちなみに種子は有毒ですよ!
かつてヨーロッパ社会ではワインや菓子の色付けに果実の液汁を使い、北米では珍味として調理されたり、リウマチの治療薬として根茎を活用した時期もあるそうです。いずれも廃れたのは中毒者が続出し、全草が有毒であることが広く認識されたから。それでもその名残があるのか、現在でも中毒事故や死亡事故が後を絶ちません。こわいこわい。
国内に自生しているヤマゴボウの仲間は他に中国原産の「ヤマゴボウ」と在来種の「マルミノヤマゴボウ」がありますが、どちらもヨウシュヤマゴボウより小型で1本立ちしていて、花序や実は下垂しないところで見分けられます。また2種とも茎や葉柄は赤くなりません。
産地が限定されているので、私自身まだ見たことがありません。
花の様子。緑色の丸い花柱が目立ちます。
(東京都昭島市2014.7.)
花が咲く直前のつぼみの様子。
(北海道札幌市2021.7.)
根元の様子。粗大な根株とはこのことか?わずかなコンクリートの割れ目からでも大きく成長します。
(北海道札幌市2021.7.)
上部ではよく分枝します。
(東京都昭島市2014.6.)
葉と茎の様子。
(屋久島町宮之浦2015.10.)
実の様子。この頃花柄や萼片は赤くなります。赤と黒の派手なコントラストは鳥を呼ぶためだとか。
(北海道札幌市2021.10.)
<特徴>
・ 北アメリカ原産。南アメリカ、オーストラリア、アジアなどに帰化。
・ 多年性草本
・ 花期は6~10月
・ 花は総状花序で4~12㎝の長い柄があり、長さ6~21㎝㎝程度。葉腋もしくは枝先から出て垂れ下がる。径約5㎜の白~淡紅色の花をつける。花弁はなく、花弁のように見える5枚の萼と8~10本の雄蕊がある。中心部の8~10個の花柱が緑色の球状で目立つ。
・ 葉は単葉で広楕円形でやや多肉、全縁で無毛、短い柄があって互生する。長さ5~30cm、幅2.5~16㎝。先は鈍くとがる。葉柄は長さ2~6㎝で赤紫色を帯びる。
・ 茎や葉柄は通常赤紫色を帯びる。粗大な根株から茎を出し、上部でよく分枝する。茎は無毛で中空。高さ1~2m、直立または斜上する。
・ 果実は液果。扁球形で直径1㎝程度。光沢があり黒紫色に熟して柔らかく、つぶすと赤紫色の汁が出る。果穂は下垂する。この時花柄は萼片とともに赤くなって垂れ下がる。
ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属
(北海道札幌市北区2021.10.)
名前は知らなくても見たことがある人は多いのではないでしょうか。子供のころ、おままごとで遊んだ思い出があるかも。
公園や庭先、アスファルトの隙間でも樹木のように大きく育つヨウシュヤマゴボウは、割と身近な存在の植物のひとつかと思います。
ヨウシュヤマゴボウの魅力は何と言っても、あのかわいらしい実でしょう。赤い茎の先に小さなブドウのような実。写真を撮ったり絵に描いたり、ちょっと花瓶に飾ったりして楽しむことができます。ドライフラワーにすることもできます。
ブドウさながらの果実はつぶすときれいな赤紫色で、水に溶かすとまるで赤ワイン。かつては小学校の理科で、色水を作るときに使われたこともあったそうです。綿棒や割りばしの先にインクのようにつけて、字を書いたり色を塗ったりすることもできます。もちろん草木染にも使えて、茶~赤紫に染めることができます。ただこの果汁は強い染料なので、衣類や皮膚につくとなかなか落ちません!
しかし!このヨウシュヤマゴボウ、毒草であることは知っておいた方がいいかと思います。まるで食べても大丈夫そうな「ヤマゴボウ」という名前ですが、日本で見られるヤマゴボウ属3種はいずれも有毒なのでご注意を。
時々道の駅などで売られている味噌や醤油などで漬けられた「ヤマゴボウ漬け」はこのヤマゴボウ属ではありません。モリアザミやフジアザミなどのアザミの仲間の根で、地方名で「ヤマゴボウ」と呼ばれています。長野や岐阜の方では食用に栽培もされているようです。
アザミの仲間の根はゴボウのように太くまっすぐ伸びていますが、ヨウシュヤマゴボウの根もゴボウさながら太く立派です。花や実がついた状態なら絶対間違えないと思いますが、シーズンオフで地上部が枯れた後や根だけでの判別は難しいかもしれません。
名前と言い、ゴボウのような根と言い、本当に紛らわしいです。日本に限らず中毒事故が起こっていますので、くれぐれもお気を付けください
中国原産のヤマゴボウ属の「ヤマゴボウ」の根が漢方の「商陸」として使われることがありますが、これは毒草として有名なトリカブトが「附子」という漢方として使われるのと同じ。用法用量を間違えると命にかかわります。
全草有毒のヨウシュヤマゴボウですが、熟した実は小鳥たちが食べています。これは果実の部分にはあまり有毒成分が含まれていないためで、鳥に実を食べてもらうことで種子散布しているのです。ちなみに種子は有毒ですよ!
かつてヨーロッパ社会ではワインや菓子の色付けに果実の液汁を使い、北米では珍味として調理されたり、リウマチの治療薬として根茎を活用した時期もあるそうです。いずれも廃れたのは中毒者が続出し、全草が有毒であることが広く認識されたから。それでもその名残があるのか、現在でも中毒事故や死亡事故が後を絶ちません。こわいこわい。
国内に自生しているヤマゴボウの仲間は他に中国原産の「ヤマゴボウ」と在来種の「マルミノヤマゴボウ」がありますが、どちらもヨウシュヤマゴボウより小型で1本立ちしていて、花序や実は下垂しないところで見分けられます。また2種とも茎や葉柄は赤くなりません。
産地が限定されているので、私自身まだ見たことがありません。
花の様子。緑色の丸い花柱が目立ちます。
(東京都昭島市2014.7.)
花が咲く直前のつぼみの様子。
(北海道札幌市2021.7.)
根元の様子。粗大な根株とはこのことか?わずかなコンクリートの割れ目からでも大きく成長します。
(北海道札幌市2021.7.)
上部ではよく分枝します。
(東京都昭島市2014.6.)
葉と茎の様子。
(屋久島町宮之浦2015.10.)
実の様子。この頃花柄や萼片は赤くなります。赤と黒の派手なコントラストは鳥を呼ぶためだとか。
(北海道札幌市2021.10.)
<特徴>
・ 北アメリカ原産。南アメリカ、オーストラリア、アジアなどに帰化。
・ 多年性草本
・ 花期は6~10月
・ 花は総状花序で4~12㎝の長い柄があり、長さ6~21㎝㎝程度。葉腋もしくは枝先から出て垂れ下がる。径約5㎜の白~淡紅色の花をつける。花弁はなく、花弁のように見える5枚の萼と8~10本の雄蕊がある。中心部の8~10個の花柱が緑色の球状で目立つ。
・ 葉は単葉で広楕円形でやや多肉、全縁で無毛、短い柄があって互生する。長さ5~30cm、幅2.5~16㎝。先は鈍くとがる。葉柄は長さ2~6㎝で赤紫色を帯びる。
・ 茎や葉柄は通常赤紫色を帯びる。粗大な根株から茎を出し、上部でよく分枝する。茎は無毛で中空。高さ1~2m、直立または斜上する。
・ 果実は液果。扁球形で直径1㎝程度。光沢があり黒紫色に熟して柔らかく、つぶすと赤紫色の汁が出る。果穂は下垂する。この時花柄は萼片とともに赤くなって垂れ下がる。
Posted by 野の花 at 14:54│Comments(0)
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