2023年11月04日
オオハンゴンソウ
オオハンゴンソウ(大反魂草) Rudbeckia laciniata L.
<肩書>
・ 外来生物法「特定外来生物」
・ 生態系被害防止外来種リスト「緊急対策外来種」
キク科オオハンゴンソウ属
オオハンゴンソウ
(北海道真狩村2019.8.)
夏の盛り、人知れずにょきにょきと成長して、開花すると急に目立ち始めて気がつくと大群落になっているオオハンゴンソウ。大きく鮮やかな黄色い花はとても華やかに野原を彩ります。
爽快なほど広大なお花畑をつくるこの花も、残念ながら外来生物法により特定外来生物に指定されている問題児です。許可なく栽培・保管・運搬・譲渡を禁止されています。罰則もあるのでご注意ください!
日本だけでなくヨーロッパにおいても侵略的植物とされています。その一番の理由はやはり驚異の繁殖力です。
まず地下茎。地上部を何度刈ってもへこたれず、何事もなかったかのように茎を出して再生します。耕運機で土に漉き込もうものなら、スライスされた塊根が芽を出し、切れた根が芽を出し。どんなことがあっても執念で芽を出します。塊根が栄養貯蔵器官なので、根こそぎそれも丁寧に除去しないと駆除できません。オオハンゴンソウの凄すぎるド根性には脱帽します。
そして種子。無融合性生殖といって、花粉を受粉しなくても種を作ることができちゃうんです。花粉を出す前から子房が膨らみ種を作り始めます。そうして大量に生産された種子は土壌シードバンクとなり、チャンスがあれば発芽できるよういつでも臨戦態勢です。
さらにセイタカアワダチソウなどと同じくアレロパシー(他感作用)を持ち、根茎から発芽を抑制する物質を分泌して他の植物を排除し、どんどんテリトリーを広げていきます。
全国各地で駆除作業が行われていますが、一旦侵入してしまうと根絶は大変難しいようです。駆除をあきらめた話は聞きますが、成功した事例は聞いたことがありません。比較的寒冷地に多いみたいですので、高山や湿地帯などに発生すると心配ですね。早期発見、早期対処!そして地道で丁寧な駆除。それに尽きます。
そもそも「ハンゴンソウ」は日本の在来種で、オオハンゴンソウと葉が似ているのですが花は全然違います。
ハンゴンソウ
(北海道弟子屈町2023.8.)
ハンゴンソウは薬草としてコレラの下痢止めの効果があり、命を救う草→死ぬ人の魂を呼び戻す草という意味で「反魂草」と書きます。
分類もオオハンゴンソウは「オオハンゴンソウ属」、ハンゴンソウは「キオン属」です。オオハンゴンソウ属は世界で約30種が知られていますが、日本に自生種はありません。
英名はcutleafoneflower、green head coneflower、wild golden glow。中国名は金光菊(jin guang ju)。
大きく華やかなオオハンゴンソウは種間交配で作られた園芸品種が多く、「Gloriosa Daisy(アラゲハンゴンソウ)」は直径が15cmになる大きな花をつけます。「Golden Glow(ヤエザキオオハンゴンソウ)」は広く栽培され、野生化もしています。
あまりメジャーではありませんが、オオハンゴンソウのはちみつも生産されています。クセはなく、良い香りのおいしいはちみつです。
オオハンゴンソウをはじめとする大群落をつくる外来種は、人によってとらえ方が様々です。見事な大群落に感動し、愛でる人も少なくありません。人間社会の急速な変化もそうですが、「外来植物=悪」という考え方について、時として少し見直すことも必要かと思います。
オオハンゴンソウの花、最初の頃の様子。
(北海道札幌市2022.8.)
舌状花は日に日に成長し、長さも幅も大きくなっていきます。
(北海道札幌市2022.8.)
完全に開いた状態。筒状花も下から開花していきます。
(北海道札幌市2022.8.)
舌状花が14個。
(北海道札幌市2022.8.)
筒状花の様子。お灸のように大きく盛り上がっています。
(北海道札幌市2022.9.)
萼の様子。総苞片は葉状、長楕円形で先は尖り2列に並びます。
(北海道札幌市2022.9.)
葉の様子。在来のハンゴンソウの葉に似ています。
(北海道札幌市2022.8.)
上面は無毛。
(北海道札幌市2021.9.)
下面は短毛があってざらつきます。
(北海道札幌市2021.9.)
上部の葉は短柄~無柄。互生します。
(北海道札幌市2021.9.)
種の様子。
(北海道札幌市2021.9.)
冠毛がついています。
(北海道札幌市2021.9.)
アラゲハンゴンソウ。別名キヌガサギク。茎葉とも荒い剛毛が密生します。筒状花は暗紫色。
(北海道恵庭市2021.7.)
ヤエザキオオハンゴンソウ。別名ハナガサギク。筒状化が舌状花に変化しました。
(北海道弟子屈町2023.8.)
<特徴>
・ 北アメリカ原産
・ 多年草。
・ 花期は7~10月
・ 花は茎の上部で枝分かれし、直径5~10㎝の黄色の頭状花を2~25個、疎に散房花序につける。花心部分の筒状花は緑黄色で中央に多数密集して半球状に盛り上がる。その周りに黄色い舌状花を6~14個つける。舌状花は細長く、やや垂れ下がる。花床は半球形で花後に円錐形に盛り上がり、鱗片は刺状にならず、上半部の背面にけが密生する。総苞片は葉状、長楕円形で先はとがり2列に並ぶ。花期には反り返る。
・ 茎は叢生し、直立して上部で分枝する。無毛で白っぽい。ハンゴンソウの葉の形に似ている。
・ 高さ0.5~3m程度。
・ 葉は互生。葉身は広卵形~披針形。葉の基部は楔形~漸尖~心形、縁は全縁~歯状縁、先は鋭形~尖鋭形。下部の葉は長い柄があり中脈近くまで羽状に5~7裂し、裂片には粗い鋸歯がある。上部の葉は短柄~無柄で3~5裂するかまたは不分裂。上面は無毛、下面には短毛がありざらつく。根生葉は2回羽状に深裂し、長柄がある。
・ 横に走る地下茎でも繁殖し、群落を作る。
・ 痩果はやや扁平で4稜あり、長さ5~6mm。無毛。冠毛はコロニラ形又は4鱗片長さ1.5㎜以下、少数の歯状の突起がある。1株当たり約1600個もの種を生産する。
・ 道端、荒地、畑地、河川敷、湿原など様々な環境に生育し、時に大群落となる。
・ 両性花。虫媒花。
<肩書>
・ 外来生物法「特定外来生物」
・ 生態系被害防止外来種リスト「緊急対策外来種」
キク科オオハンゴンソウ属
オオハンゴンソウ
(北海道真狩村2019.8.)
夏の盛り、人知れずにょきにょきと成長して、開花すると急に目立ち始めて気がつくと大群落になっているオオハンゴンソウ。大きく鮮やかな黄色い花はとても華やかに野原を彩ります。
爽快なほど広大なお花畑をつくるこの花も、残念ながら外来生物法により特定外来生物に指定されている問題児です。許可なく栽培・保管・運搬・譲渡を禁止されています。罰則もあるのでご注意ください!
日本だけでなくヨーロッパにおいても侵略的植物とされています。その一番の理由はやはり驚異の繁殖力です。
まず地下茎。地上部を何度刈ってもへこたれず、何事もなかったかのように茎を出して再生します。耕運機で土に漉き込もうものなら、スライスされた塊根が芽を出し、切れた根が芽を出し。どんなことがあっても執念で芽を出します。塊根が栄養貯蔵器官なので、根こそぎそれも丁寧に除去しないと駆除できません。オオハンゴンソウの凄すぎるド根性には脱帽します。
そして種子。無融合性生殖といって、花粉を受粉しなくても種を作ることができちゃうんです。花粉を出す前から子房が膨らみ種を作り始めます。そうして大量に生産された種子は土壌シードバンクとなり、チャンスがあれば発芽できるよういつでも臨戦態勢です。
さらにセイタカアワダチソウなどと同じくアレロパシー(他感作用)を持ち、根茎から発芽を抑制する物質を分泌して他の植物を排除し、どんどんテリトリーを広げていきます。
全国各地で駆除作業が行われていますが、一旦侵入してしまうと根絶は大変難しいようです。駆除をあきらめた話は聞きますが、成功した事例は聞いたことがありません。比較的寒冷地に多いみたいですので、高山や湿地帯などに発生すると心配ですね。早期発見、早期対処!そして地道で丁寧な駆除。それに尽きます。
そもそも「ハンゴンソウ」は日本の在来種で、オオハンゴンソウと葉が似ているのですが花は全然違います。
ハンゴンソウ
(北海道弟子屈町2023.8.)
ハンゴンソウは薬草としてコレラの下痢止めの効果があり、命を救う草→死ぬ人の魂を呼び戻す草という意味で「反魂草」と書きます。
分類もオオハンゴンソウは「オオハンゴンソウ属」、ハンゴンソウは「キオン属」です。オオハンゴンソウ属は世界で約30種が知られていますが、日本に自生種はありません。
英名はcutleafoneflower、green head coneflower、wild golden glow。中国名は金光菊(jin guang ju)。
大きく華やかなオオハンゴンソウは種間交配で作られた園芸品種が多く、「Gloriosa Daisy(アラゲハンゴンソウ)」は直径が15cmになる大きな花をつけます。「Golden Glow(ヤエザキオオハンゴンソウ)」は広く栽培され、野生化もしています。
あまりメジャーではありませんが、オオハンゴンソウのはちみつも生産されています。クセはなく、良い香りのおいしいはちみつです。
オオハンゴンソウをはじめとする大群落をつくる外来種は、人によってとらえ方が様々です。見事な大群落に感動し、愛でる人も少なくありません。人間社会の急速な変化もそうですが、「外来植物=悪」という考え方について、時として少し見直すことも必要かと思います。
オオハンゴンソウの花、最初の頃の様子。
(北海道札幌市2022.8.)
舌状花は日に日に成長し、長さも幅も大きくなっていきます。
(北海道札幌市2022.8.)
完全に開いた状態。筒状花も下から開花していきます。
(北海道札幌市2022.8.)
舌状花が14個。
(北海道札幌市2022.8.)
筒状花の様子。お灸のように大きく盛り上がっています。
(北海道札幌市2022.9.)
萼の様子。総苞片は葉状、長楕円形で先は尖り2列に並びます。
(北海道札幌市2022.9.)
葉の様子。在来のハンゴンソウの葉に似ています。
(北海道札幌市2022.8.)
上面は無毛。
(北海道札幌市2021.9.)
下面は短毛があってざらつきます。
(北海道札幌市2021.9.)
上部の葉は短柄~無柄。互生します。
(北海道札幌市2021.9.)
種の様子。
(北海道札幌市2021.9.)
冠毛がついています。
(北海道札幌市2021.9.)
アラゲハンゴンソウ。別名キヌガサギク。茎葉とも荒い剛毛が密生します。筒状花は暗紫色。
(北海道恵庭市2021.7.)
ヤエザキオオハンゴンソウ。別名ハナガサギク。筒状化が舌状花に変化しました。
(北海道弟子屈町2023.8.)
<特徴>
・ 北アメリカ原産
・ 多年草。
・ 花期は7~10月
・ 花は茎の上部で枝分かれし、直径5~10㎝の黄色の頭状花を2~25個、疎に散房花序につける。花心部分の筒状花は緑黄色で中央に多数密集して半球状に盛り上がる。その周りに黄色い舌状花を6~14個つける。舌状花は細長く、やや垂れ下がる。花床は半球形で花後に円錐形に盛り上がり、鱗片は刺状にならず、上半部の背面にけが密生する。総苞片は葉状、長楕円形で先はとがり2列に並ぶ。花期には反り返る。
・ 茎は叢生し、直立して上部で分枝する。無毛で白っぽい。ハンゴンソウの葉の形に似ている。
・ 高さ0.5~3m程度。
・ 葉は互生。葉身は広卵形~披針形。葉の基部は楔形~漸尖~心形、縁は全縁~歯状縁、先は鋭形~尖鋭形。下部の葉は長い柄があり中脈近くまで羽状に5~7裂し、裂片には粗い鋸歯がある。上部の葉は短柄~無柄で3~5裂するかまたは不分裂。上面は無毛、下面には短毛がありざらつく。根生葉は2回羽状に深裂し、長柄がある。
・ 横に走る地下茎でも繁殖し、群落を作る。
・ 痩果はやや扁平で4稜あり、長さ5~6mm。無毛。冠毛はコロニラ形又は4鱗片長さ1.5㎜以下、少数の歯状の突起がある。1株当たり約1600個もの種を生産する。
・ 道端、荒地、畑地、河川敷、湿原など様々な環境に生育し、時に大群落となる。
・ 両性花。虫媒花。