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2021年12月09日

コウリンタンポポ

コウリンタンポポ(紅輪蒲公英) Pilosella aurantiaca(L.) F.Schultz et Sch.Bip.

<肩書>
・ 生態系被害防止外来種リスト「その他の総合対策外来種」

キク科コウリンタンポポ属
コウリンタンポポ
(北海道真狩村2019.8.)

英語名「デビルズペイントブラシ(悪魔の絵筆)」。
かなりショッキングな名前です。とても花が美しく、一面じゅうたんのように咲き誇ることから園芸種として人気が高く、一時は「ビーナスの絵筆」ともてはやされました。ところがものすごい繁殖力でそこら中に飛び散り、無節操にはびこった結果、煩わしい雑草となって嫌われ、最後は「悪魔の絵筆」なんて言われるようになってしまいました。

舌状花が直立している様子を絵筆に見立てて、日本でも別名エフデギク、エフデタンポポ、また「天使の絵筆」と言われたりします。かつては「ヤナギタンポポ属」に分類されていましたが、現在では「コウリンタンポポ属」として独立しました。花の形がタンポポに似ているので名前もそうついていますが、普通のタンポポは「タンポポ属」なので系統が異なります。
属名の「Hieracium」は、ギリシャ語で「鷹」のこと。鷹が視力を高めるためにこの仲間の植物を薬用として使った、という古い伝説に基づいているそうです。花言葉が「眼力」「目ざとい」というのはその伝説からかもしれません。

繁殖力は他の外来種同様、際限なく旺盛です。セイヨウタンポポと同じく、受粉せずして自ら種子を生産する「単為生殖」ができます。小さな種を綿毛でたくさん飛ばし、種の発芽率も高いです。土壌中の種子の寿命は10年にも及ぶそうです。そして種だけでは飽き足らず、走出枝をだして分株を作り、マット状に広がっていきます。おまけに葉は根生葉で地面に貼りついているので、草刈りで除去することはほぼ不可能でしょう。地道に、種を拡散する前に刈り取り、根生葉を抜き取るしか方法はありません。
北海道や東北地方など、冷涼な地域ではかなり分布が拡大しています。特に北海道では独自のブルーリストで上から2番目のA2、「生態系等に大きな影響を及ぼしており、防除対策の必要性について検討する外来種」に指定されています。高山帯のような過酷な環境でも簡単に繁茂する危険があるため、自然度の高い場所では注意する必要があります。

近縁種にはキバナコウリンタンポポ、ハイコウリンタンポポがあり、どちらも外来種です。
キバナコウリンタンポポはコウリンタンポポとよく似ています。違う所といえば花が黄色いこと、葉の幅が少し狭い披針形であること。全体的に毛の量は少なめですが毛の生え方や質感、外観はよく似ています。
またキバナコウリンタンポポは、コウリンタンポポの色変わりした品種ではなく、れっきとした別種です。1955年に北海道羊蹄山麓にある倶知安町の植物学者、桑原義晴先生が初めて世に発表したタンポポです。しかし北海道から全国に広がったわけではなさそうです。早い段階で岡山でも帰化の報告があったことから、輸入した牧草種子などに混ざっていて広がったのではないかと考えられます。

ハイコウリンタンポポについては残念ながらまだ見たことがありませんので、改めて。

花の様子。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市真駒内虹の緑地2021.10.)

毛の様子。毛がたくさん生えていて、ごわごわしています。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市真駒内虹の緑地2021.10.)

葉の様子。独特の長毛がたくさん生えています。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市真駒内虹の緑地2021.10.)

根生葉。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市真駒内虹の緑地2021.10.)

綿毛の様子。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市真駒内虹の緑地2021.10.)

コウリンタンポポとキバナコウリンタンポポを比較。色以外はほぼ同じです。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市幌見峠2021.11.)

キバナコウリンタンポポ。毛の感じはコウリンタンポポとそっくりですが、茎の毛は短め、量も少し少な目です。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市幌見峠2021.11.)

キバナコウリンタンポポの根生葉。コウリンタンポポの葉より、一番広いところが少し細い感じでした。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市幌見峠2021.11.)

キバナコウリンタンポポの葉。コウリンタンポポの葉の表面とそっくりです。
コウリンタンポポ
(北海道札幌市幌見峠2021.11.)

コウリンタンポポの種。
コウリンタンポポ

コウリンタンポポ(上)とキバナコウリンタンポポ(下)の種。これもそっくり。
コウリンタンポポ

コウリンタンポポも花期が長くたくさん咲くので、チョウなどの多くの虫を育んでいます。(ベニシジミ♂)
コウリンタンポポ
(北海道札幌市野幌森林公園2021.6.)

<特徴>
・ ヨーロッパ原産
・ 多年生草本。
・ 花期は6~8月
・ 花は同時期に複数の花茎が立ち上がり、花軸の先端から放射状に柄が出て散形状に10個程度の頭花を次々と咲かせる。頭花は直径約2~2.5㎝、すべて舌状花で、橙赤色。乾燥すると暗赤色になる。総苞片は膜質で黒っぽい毛が密生し、短い腺毛が混ざる
・ 高さ10~60㎝程度。
・ 根生葉は根の際の茎から出て、白い毛を密生し、放射状に広がりロゼット状に互生する。長さ6~20cm、幅1.2~3.5cmの長楕円状披針形~線状披針形で、先は鈍形。葉に基部はくさび形。両面に長い剛毛を密生する。花茎も含め全体に黒っぽい毛が密生し、短い星状毛も生える。花茎の途中に葉はないか、小さな葉が1~2個つく。
・ 根茎は長く、根際から多数の匐枝を伸ばして殖える。匐枝につく葉は小さい。
・ 痩果(そうか)は赤褐色で円柱形。10脈があり、冠毛は汚白色の毛状。
・ 北半球の温帯に広く帰化している。日本全国の道端や畑地、空き地などに生育するが、北海道に特に多い。日当たり、水はけ、通風のよい草地を好むが、かなりの環境の変化にも順応できる。高温・多湿・多雨にはあまり強くない。


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