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2021年08月11日

アメリカネナシカズラ

アメリカネナシカズラ(亜米利加根無し蔓) Cuscuta pentagona

<肩書>
・ 生態系被害防止外来種リスト「その他の総合対策外来種」

ヒルガオ科ネナシカズラ属
アメリカネナシカズラ
(屋久島町麦生2015.10.)

まるで細い糸をまき散らしたかのようなアメリカネナシカズラ。日本では1970年頃に東京都府中市の多摩川付近で初めて確認されました。現在では北海道から九州までの全国に定着が拡大しています。輸入穀物や緑化用の植物種子に混ざって非意図的(要は勝手にということ)に入ってきたものと考えられています。

寄主植物はキク科、ウリ科、ナス科、シソ科、ヒルガオ科、キョウチクトウ科、セリ科、アオイ科、アブラナ科、ヒユ科、アカザ科、ツルムラサキ科、ユリ科、イネ科など多数。相手構わずに吸盤(寄生根)で絡みついて寄生し生長するつる植物です。畑に入ると作物の生長に悪い影響を与えます。

アメリカネナシカズラの種が発芽すると根を出して伸びて行きますが、宿主にとりついて寄生が成功するとこの根も必要なくなって枯れてしまいます。そしてつるをどんどん伸ばしてからみつき、おおいかぶさり、寄生根(吸盤)を宿主にくっつけて水分や養分を横取りします。この吸盤はかなりしっかりついていて無理にはがすと跡が残ってしまいます。
完全な寄生生活をしているので光合成をしません。だから葉緑素がないので緑色ではなく葉も退化してしまってありません。とても旺盛に生育するので、時には宿主を枯らせてしまうこともあります。
さらに生命力も強いので、除去しても寄生根の取り残しがあるとそこからどんどん伸びて数週間であっという間に元通りに広がってしまいます。
種の散布は風や雨などの自然要因の他、動物の胃の中でも生存するとの報告があることから、動物が運ぶこともあるようです。

まるでそうめんをひっくり返したかのような惨状です。
アメリカネナシカズラ
(屋久島町麦生2015.9.)

花の様子。おしべが飛び出しています。寄生の宿主はタチアワユキセンダングサです。
アメリカネナシカズラ
(屋久島町麦生2015.10.)

参考までに。これは普通のネナシカズラ(スナズル)。
アメリカネナシカズラ
(屋久島町栗生2015.10.)

アメリカネナシカズラよりずっと太いつるで、まるでラーメンのよう。少し褐色がかっています。花も穂状になっていて明らかに違います。

ネナシカズラの宿主はオオハマグルマと思われます。寄生根が分かりやすく観察できました。
アメリカネナシカズラ
(屋久島町栗生2015.10.)

<特徴>
・ 原産地は北アメリカ。
・ 1年草。つる性の寄生植物。
・ 花期 8月~10月
・ 花は茎の所々にかたまり直径3mm、がくは先が5裂し先は丸い。花弁も5裂し白色で列片は三角形。花筒内部に5個の鱗片、雄ずい5個、雌ずい1個で花柱2個、柱頭部は球形。
・ 茎は太さ1mm程度、長さは50cm程度だが実際はぐちゃぐちゃにからまっている。色は淡黄~淡黄赤色。寄主にまきつき、小突起状の寄生根(吸盤)でくっつく。
・ 葉はない。
・ 種子は2~3mm、花柱も雄ずいも果時まで残っている。種子の寿命は50年以上。
・ 生育環境は畑地、樹園地、牧草地、路傍、荒地、河川敷、海浜、栽培植物上など
・ 分布はほぼ全国
・ 近縁種「ネナシカズラ」と「マメダオシ」との見分け方は、

●めしべがくっついて1本に見える。茎に紫色の斑がある。花は穂状。→ネナシカズラ
●めしべが離れて2本に見える
 ○雄しべに柄があって花びらから飛び出している。花は穂状にならず固まっている。
   →アメリカネナシカズラ
 ○雄しべに柄はなく花びらに飛び出さない
   →マメダオシ 


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